Report2010
犬養道子代表より基金報告
難民支援協会からの報告
2010年 収支報告 

Report2009
運営委員会より活動報告
難民支援協会からの報告
2009年 収支報告 

Report2009上半期
犬養道子代表より基金報告

Report2008
犬養道子代表より基金報告
平野委員長からの報告

2008年 収支報告

【条約難民への支援】
 ・スグレさんからの報告
 ・ヘイマーさんからの報告

Report2007
犬養道子代表より基金報告
平野委員長からの報告

カクマ難民キャンプ訪問記
Tシャツ頒布のご報告
2007年 収支報告

【条約難民への支援】
 ・スグレさんからの報告
 ・ヘイマーさんからの報告

Report2006
犬養道子代表より基金報告
平野委員長からの報告
2006年 収支報告
【条約難民への支援】
 ・スグレさんからの報告
 ・ヘイマーさんからの報告


Report2005

犬養道子代表より基金報告
平野委員長からの報告
2005年 収支報告
【条約難民への支援】
 ・スグレさんからの報告
 ・ヘイマーさんからの報告

  

 

 

 

 

 

 


Report [事業報告]

◆2008年 犬養道子基金報告

 【新しい一歩】

世界的不況と先行不安のこんにち、昨年度とほとんど同額の御支援をいただいていることに心から驚き、深い感謝をおぼえお志に沿うべく、過去数年の間望んでいた新しいプログラムをつくることに決めました。幸か不幸か本年度は奨学金希望者があらわれなかったため、また、19年来のパートナーであるJRSも現場(アフリカとアジア)の二つのキャンプ縮小に向かったため貴重なお金を新しいプロジェクトに振り向けることとしました。

新しいプロジェクトとは:

(一)犬養道子基金(以下MIF)内に医事セクションを設置すること。

  1. 過去にも病気や怪我の例がいくつかあり、都度個人的に奉仕していましたが、年齢・国籍・民族差にかかわりなく難民であろうとなかろうと、病気はつきもの。家族が大病のため、せっかくの奨学金を生かせなかった難民もいれば、基金に迷惑をかけてはいけないと考えて体調不順にかかわらずバイトを続け、ついに倒れたときには重症だった東南アの青年難民もおりました。むごく辛く悲しかった逃避行の末、日本国到着時にはすでにうつのどん底にある者ほとんど全員。親類縁者を争乱の祖国に残して逃げて「自分だけを助けた」自責の念にとりつかれ半狂乱となった例。元々弱い体質だった人々の中には、言語に絶する逃避行の間にガンや心臓の病を育ててしまう者も。

  2. そして彼らは一定の期間と条件を満たさない限りはせっかくたどりついた日本国の保険の恩恵には浴せません。

(二)

  1. 一昨年あったケースは心筋梗塞。幸い、救急車は間に合いすぐに手術となりました。犬養自身、二度梗塞に襲われましたが、突如起こった激痛は金槌でアゴと胸とを力一杯たたかれ続けるかのごとく。むろん意識を失います。受け入れる医師の使命は人命を助けることですから、患者自身の合意が得られなくても手術を行ってしまいます。しかし、犬養のケースでは保険がありました。この難民のケースでは保険なし。手術代と入院費の会計はかるく200万円になりました。術後の休息必要期(ほぼ2週間)の費用は別。誰が払う?

  2. こんなことどもを知るたびに、MIF医事セクション設置は奨学金や法的援助(弁護士探し)と並び、絶対に必要と考えるに至りました。全額一度に払えなくても「必ず払う」意思と保障がMIFにはあることを、病み傷ついた難民が知るだけでも心の平静はある程度以上約束されるのではないかとも考えました。

(三)

日本国は2008年に爆発的に増加した難民認定申請者(ミャンマーやアフリカなど)の中のほぼ三分の一を受け入れると公に言ったのです。言った以上、いまだ無保険の人々の病気・怪我の際は助け支えるのは当たり前なのです。

(四)

しかし、医事セクション新設のためには専門分野の医師を持つ病院との提携がぜひとも必要になります。犬養の心中で、この提携病院(注:提携と同時にいわば「主治病院」として罹病難民がどこのどの病院につれこまれても彼等の「主治医院はここです」と公言して下される病院)はとっくに決まっていました。東京築地の聖路加国際病院です。

そこの院長・名誉理事長の日野原重明先生と犬養の間には長いお付き合いの末の友情があり、共著一冊をもだしてもおりますが、聖路加を選んだ理由は、

  1. 信頼できる医術水準を持つ総合病院でありつつ、

  2. 創始者トイスラー博士以来、福音的理念が生かされていること。それが日野原先生以下に引き継がれていること。

  3. 150名ほどの「外国語通訳ボランティア」がいること。ミャンマーやカンボジア等々の言葉も出来る元外交官や商社員の夫人たち。日野原先生が創設。300人までに増やしたいとのこと。医者、ナースと病者をつなぐ架け橋。これはとても大事な一点です。

犬養がガンや心臓で入院したジュネーブ大学病院には「言語通訳よろず相談」のボランティアはかるく350名いたのです。

注1: 聖路加在の東京以外の地(たとえば難民収容地の長崎県大村市)で病に倒れたときはどうするか。聖路加が仲立ちとなって然るべき病院を調べ探してくださることになった。

注2: 一時収容所内での病気はどうするか。「手弁当で診察し結果を聖路加に知らせてくださる」ホームドクター的な方を探す。これが今の一大課題。

2008年9月26日午前10時。犬養は聖路加国際病院名誉理事長室で、一時間をとって待ってくださった日野原先生におめにかかり、医事セクション企画をお話して(MIFのことはとうにご存知)ご協力をお願いしました。言下に先生は「聖路加がやるべきことです。すぐやりましょう。」 飛び立つ思いで「MIFが全額支払不可の際、分割払いは?」 「OKです。」 「一年たっても払えなかったら?」 「聖路加が背負います。そんなことより早くスタートするべきです。」 それが金曜日の朝のこと。早速に大よろこびのMIF委員長平野が、月曜日あさ、電話をさしあげたら「MIFならお待ちください」と秘書の山本さん。驚いたことに、日野原氏自身が電話に出てくださり、「もう立ち上げました。」

聖路加ソシアルワークセクション(以下、SSS)内MIF提携プロジェクトは三日目にもはや動き出していたのです。チーフは「経験豊かで実行力に富み仕事を早くする」SSチーフ西田知佳子氏。彼女と犬養の電話懇談により、実際的な課題がひとつひとつおさえられてゆくと同時に、医事セクションの発足のためのMIFの資金は300万円とまことにささやかですが、努力と工夫により500万円までにしたいと思っております。しかし、すべてにまさって発作、手術、事後静養時に必要なのは、犬養自身の数度の体験に基けば、「ひとさまとのコンタクト。」 あたたかい人間関係。幸いにして各地の高校に育ち上がった学生グループに声をかければ難民収容所在の長崎県の大村や大阪府の茨木などに「訪問グループが生まれる」ことは可能です。一昨年MIFを後ろ盾としてアフリカの難民キャンプに赴かれ、そののち各地高校で難民事情を話し若者たちの視野を広げてくださった広島学院在の教諭、菱口公喜先生の存在なども貴重です。さあ、新しい一歩を。常に前へ。皆さまのお励ましに支えられて。

たいそう長い御報告となりました。お読みくださったことを心から感謝いたします。

                 2008年11月   犬養道子

 


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