Report2014
犬養道子代表より基金報告
難民支援協会からの報告
2014年 収支報告
平野委員長からの報告

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Report [難民支援協会からの報告]

 写真提供−難民支援協会

 難民申請件数は2010年以降連続して増加しており、昨年はついに3000件を突破しました。しかし、難民認定を受けたケースは6件にとどまり、難民認定率(処理件数に対する認定数)は一次手続きで、0.1%、異議手続きで0.3%と過去最低の水準に落ち込んでいます。現在も紛争状態が続くシリアからの難民申請もすべて不認定とされております。

 難民支援協会(JAR)ではまず難民認定申請を検討している方に対し、このような現状をお伝えしております。なんとか母国での迫害から逃れ、日本にたどり着いたあとで、このような現状を突きつけられることにショックを受ける方も少なくありませんが、それでも希望を失わずに難民認定を求める方に対し、多様な支援を提供しております。2013年に新たに登録を行った難民は45カ国から438名にのぼりました。そして、難民認定を得るために、資料の翻訳、弁護士の紹介、弁護士との協働などを行い結果的には、2件に難民認定、12件に人道配慮による在留許可(準認定)を得ることができ、日本で安心して生活をできるようになりました。2014年でも、すでに複数の難民認定、人道配慮を受けております。

 また、難民認定や人道配慮による在留許可を得たとしても、それだけでは解決しない問題も多くあります。そのひとつが家族の呼寄せです。特に人道配慮による在留許可を得た、シリア国籍者の中には、家族を残してきている方もいらっしゃいました。そのような方が家族を呼寄せ、家族が一緒になって住めるようにするために、JARでは在留資格が安定した難民の家族呼寄せも非常に力を入れて取り組んでおります。

 このような直接提供する法的支援に加え、弁護士等の専門家が難民支援を提供できるような支援も実施しております。難民認定手続きは非常に専門的な法分野であるといわれ、難民支援を行える弁護士は非常に少ないのが現状です。しかし、複雑な手続きを難民が単独で行うことでよい結果を得ることは非常に困難なため、個別の難民を支援できる弁護士の拡大はきわめて重要であると考えています。

 JARでは弁護士を対象としたセミナーの提供や、勉強会の実施などを通じて、難民支援弁護士の拡大に取組みました。また、2014年には性的マイノリティ(LGBT)であることを理由とした難民に適切な法的支援を提供するべく、LGBT弁護団の立ち上げに加わり、専門的な支援の提供を開始しております。他方で、弁護士事務所とのパートナーシップを拡大も行っており、2013年には新しく加わったパートナー事務所と協働で取組んだケースにつき、難民認定を得ることができるなど、その結果が出始めています。

【難民支援協会のURLはこちら

Report [医療支援に関する報告]

 母国での迫害を逃れ、来日する難民(難民申請者、庇護希望者を含む)の数は年々増加の一途をたどっている。昨年2013年の難民申請者数は3,260人に上り過去最多記録を更新したが、2014年は昨年を上回る勢いで申請者数が伸びており4000件に達する見込みである。その一方、難民として認定され安定した在留資格が得られる者は非常に少なく、平均約3年かかる認定申請手続きの結果、昨年難民として認定された人数は昨年わずか6人にとどまった。
 来日後まもなく当会を来訪する難民は、その多くが日本での生活の基盤がまだ固まっておらず、就労もできないために経済的に困窮している。逃れてきた日本において、特に初めての冬を経験する難民にとって、暖を取って安心して眠れる住居がなく、真冬にホームレスとなって屋外で滞在することは命にもかかわることになる。就労資格を持たない難民申請者にとって命綱ともいえる公的支援金(外務省の保護費)は、支給までに3〜4ヶ月を要す場合が多く、住居がない場合でも、公的支援につながるまで2ヶ月はかかっている状況。その結果、日本のセーフティネットからこぼれ落ち、ホームレスにならざるを得ない状況にある難民も増えている。このような生活環境の中で、体調を崩す者も多く、スタッフが緊急的に医療機関へ連れていくケースも複数出ている。疾患も頭痛・腹痛、うつ病や重い感染症と多岐にわたっていて、難民申請者数がさらに増えている中では、今後このような健康相談はもっと増えていく見込みである。
 このように、医療機関を受診したくても経済的理由により受診ができない難民に対し、犬養道子基金からの厚いご支援により弊会が計60名の難民に合計2,848,094円の医療費を支援することができた。皆様からの温かいご支援を現場で大切に活用させて頂いております。本当にありがとうございます。

■2014年の基金からの医療支援金支援内訳

対象者

受診科目

ご支援金額

1 男性、西アフリカ出身 薬代 \1,025
2 男性、西アジア出身 精神科、皮膚科、整形外科他(23回) \184,365
3 男性、西アフリカ出身 薬代 \1,226
4 男性、東南アジア出身 精神科他(3回) \10,765
5 女性、中部アフリカ出身 産婦人科(2回) \21,230
6 女性、西アジア出身 耳鼻科、婦人科他(10回) \120,524
7 5人家族、西アジア出身 診断書代、出産費一部 \5,350
8 女性、東アフリカ出身 内科、歯科(5回) \495,898
9 男性、西アジア 歯科 \8,610
10 6人家族、南アジア出身 産婦人科、歯科(2回) \13,360
11 男性、西アジア出身 内科 \51,227
12 男性、中部アフリカ出身 薬代 \1,280
13 男性、南アジア出身 診断書代 \36,120
14 男性、北アフリカ出身 歯科(7回) \32,710
15 男性、西アジア出身 精神科(2回) \22,020
16 3人家族、西アジア出身 産婦人科 \3,950
17 女性、西アフリカ出身 薬代 \2,460
18 女性、東アフリカ出身 内科(8回) \266,068
19 女性、西アフリカ出身 薬代 \2,930
20 男性、西アジア出身 泌尿器科 \8,490
21 男性、西アフリカ出身 内科(4回) \707,733
22 男性、西アジア出身 内科(2回) \89,163
23 5人家族、南アジア出身 歯科(2回) \14,280
24 女性、中部アフリカ出身 産婦人科(2回) \627,830
25 女性、中部アフリカ出身 内科他 \35,205
26 7人家族、西アジア出身 小児科、歯科 \37,782
27 4人家族、西アジア出身 歯科、整形外科、精神科他(3回) \60,040
28 男性、西アフリカ出身 薬代 \1,705
29 5人家族、西アジア出身 皮膚科 \4,420
30 男性、東アフリカ出身 内科 \10,330
31 男性、西アジア出身 診断書代 \1,543
32 男性、東南アジア出身 薬代 \1,425
    合計金額 \2,848,094

 

 


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