Book Recommendation[新刊紹介]

 『歴史随想パッチワーク』中央公論新社

 ◆「歴史認識」を問う

 17編のうち14編が「婦人の友」連載ですが大幅に加筆修正されて読みやすくなっています。1.の「過去と未来と」と15.の「「歴史認識」とは何か」で果たして「ほんとうのこと」とは何なのかと、私たちの「歴史認識」のあり方に問いを投げ掛けています。この中で、犬養ファミリーと中国革命の父と呼ばれる孫文、さらには「和平派」と呼ばれる人々との交流秘話が鮮やかに語られ、貴重な証言となっています。

 「歴史認識とは理論だけではない」「実際である。実践である。」とする犬養代表は自らのアフガン難民キャンプでのいくつかの体験を語ります。女性である限り「西洋風のトイレのない限り、日の出から日没まで戸外で用を足しては身が危い。」「決して肌を夫以外の男に見せてはならぬ厳律を持つ民の中の女性であれば、」「好きな時に排泄の出来る{難民キャンプ}をはなれたくない」。そして女性患者を手術しようとした欧米の男性の医者がピストルを構えた彼女の夫に一発で射殺されたという悲劇!

 さらにタイ国の南端の、「役に立たぬ病児・幼児だけを死なせる」難民キャンプ・マイルートでの1979年でのつらい体験!いずれもご自身の実地体験からの問いかけです。

 ◆「難民問題」を問う

 16の「蔭の人々」〈流れるー難民・パスポート〉では、難民をめぐって無関心国でありつづける日本の「無知」「無責任」を問うています。

  ―2006年度に生命の保護を求めて難民認定をしてもらうために日本にやって来た人々の数は954人。内、正式に受け入れられたのはわずか34人!受け入れか否かを待つ間―いつまで?−は収容所。バイトは不許可。カネはない。どうする?−

 ◆「難民支援協会」そして「犬養道子基金」

 このような人々の基本人権を守るため組織されたのが「難民支援協会」。さまざまな困難の中、活躍を続ける活動ぶりを具体的に紹介しています。

 これらの活動に対し、「犬養道子基金」では協力・支援を継続的に行っていることは既にご報告のとおりです。

 ◆「全人類の生き方」を問う

 このご本でも随所に聖書理解を援けるお考えが書かれています。例えば、、イスラム・ユダヤ教との関わり、プロテスタントとカソリシズムとの関わり、和解の動き、イエズス会誕生の歴史等いずれも思索に溢れた随想が一杯です。

 そして最終編17の「人類史全貌・黙示録」では直面する諸問題に苦悩する人類に対し「新しい希望」「新しい明日」を示唆しているように思われます。

 

 大変中味の濃い「歴史随想」が犬養道子代表の100冊目のご本として上梓されたことを皆さんとともに喜びたいと思います。

(文責:委員長 平野 鍾)

 

 

 


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